インフルエンザの男性とタミフル
インフルエンザが流行する季節は予防接種をする人やマスクをしたりなど対策方法は人それぞれですよね。インフルエンザ治療薬であるタミフルは実は予防にも使えるものであることを知らない方も多いのではないでしょうか?

毎年冬の時期になると、インフルエンザが猛威を振るいます。
インフルエンザはウィルス性の病気で抗生物質が効かないため、従来は体の免疫細胞によってウィルスが死滅させられるのを待つしかありませんでした。
ところが近年になって抗ウィルス薬が開発され、インフルエンザウィルスの増殖を阻止することで治療を行う事ができるようになりました。

インフルエンザの治療に用いられる抗ウィルス薬はいくつか存在しますが、A型とB型の両方のインフルエンザウィルスに対して効果があり、手軽に利用することができるタミフルが一番おすすめです。
他のインフルエンザ治療薬は粉末を吸入するか、点滴で投与する必要があります。
これに対してタミフルはカプセルの錠剤を飲むだけで高い効果を発揮するため、通院治療が可能です。
さらにタミフルは副作用が少ないという利点もあるので、予防目的でも用いられています。

タミフルの副作用は問題ないのか?

疑問に思う女性一般的に、どのような医薬品でも必ず副作用が存在します。
副作用というデメリットがあったとしても薬品を使用する理由は、デメリットよりもメリット(病気の治療効果)の方が大きいからです。
例えば抗生物質は病気を引き起こす細菌に対する殺菌効果がありますが、腸内の細菌も殺してしまうので消化不良になってしまいます。
痛み止めとして幅広く処方される消炎剤も胃腸に対して副作用が出る場合もあります。
インフルエンザに高い効果を有するタミフルには特に際立った副作用が存在せず、安全性が高いという利点があります。

発売されて間もない時期に、タミフルを使用したインフルエンザ患者に精神異常が現れた、との報告が寄せられたことがありました。
他にも下痢や吐き気、嘔吐などの副作用が疑われた事もありました。
そのため、タミフルには脳や消化器に対して何らかの副作用がある可能性が指摘されたことがあります。
これを受けて、タミフルと精神異常や消化器系の症状の因果関係に関する研究が実施されました。

タミフルを使用したインフルエンザ患者に見られた“副作用”は、いずれもインフルエンザそのものによる症状と一致しています。
インフルエンザにかかると38℃以上の高熱が何日も続くため、子供の患者であれば一時的に脳に異常をきたす場合があることが知られています。

タミフルを投与された患者と、投与されていない患者で精神異常の発生率を比較した研究があります。
両者を比較したところ、タミフルを投与されたグループの患者の方が脳に異常が発生する割合が低いことが分かりました。
タミフル自体には解熱作用はありませんが、治癒を速めることで高熱を発症する期間が短くなり、結果として脳に一時的な異常をきたす割合が減少した可能性があります。

他にもタミフルを使用した一部のインフルエンザ患者の中に、頭痛の症状を訴えた人がいました。
頭痛も高熱によって生じる症状で、普通の風邪で熱が出ても頭痛の症状が出るケースがあります。
38℃以上の高熱が続けば頭痛の症状が出るのは当然です。
予防目的でタミフルを使用した人の中で頭痛の症状を訴えた人がいないため、これもインフルエンザによる高熱の症状であると考えられています。

タミフルの成分と副作用の報告

タミフルの有効成分はオセルタミビル(oseltamivir)と呼ばれる化学物質です。
オセルタミビル分子は炭素原子16個、水素原子28個、窒素原子2個、酸素原子4個(分子量:312.4 g/mol)から成ります。
これは分子サイズが大きいため、脳の「血液脳関門」を通過することができません。
このためオセルタミビルが人間の脳細胞に対して何らかの影響を及ぼす可能性は極めて低く、神経細胞に影響するような副作用は存在しないと考えられています。

タミフルの副作用として、下痢や嘔吐などの消化器系の異常が疑われたことがあります。
これらの症状もインフルエンザを発症している患者にのみ見られました。
これに対してインフルエンザを発症していない健康な人が予防目的でタミフルを使用する場合には、消化器系の症状は現れませんでした。
そのため下痢や吐き気・嘔吐などの症状もインフルエンザの症状であり、タミフルの副作用ではないと考えられています。

これまで何年もタミフルの副作用についての研究が続けられてきましたが、明確に薬が原因で生じる副作用は確認されていません。
38℃以上の高熱が何日も続くと高熱が原因で頭痛やめまい・精神的な異常をきたしたり、下痢や嘔吐などの症状を引き起こすことはごく当たり前のことであると考えられます。
常識的に考えて、インフルエンザに罹患して何日間も高熱が続いている状況で、何の症状も現れないことは考えられません。

これまで明確にタミフルに含まれるオセルタミビルによって引き起こされる副作用は確認されていません。
タミフルは安全性が高いことが確認されているため、1歳以上の子供にも使用されているほどです。

タミフルはインフルエンザに感染後いつまでに飲む?

インフルエンザの治療のためにタミフルを使用する場合には、発症後48時間以内に治療を始める必要があります。
このことは、タミフルに含まれる成分(オセルタミビル)がインフルエンザウィルスに及ぼす作用と深い関係があります。

インフルエンザウィルスは最初に人体の細胞(気道)内に感染します。
ウィルスは細胞内の遺伝情報を書き換えることで、人体の細胞を「ウィルスの生産工場」に改造してしまいます。
ウィルスに感染した細胞は大量のインフルエンザウィルスを量産して、細胞外に放出します。
放出されたウィルスは別の健康な細胞に感染して更にウィルスを大量生産します。
インフルエンザウィルスが爆発的に増えて、24時間後には100万個以上にウィルスが増えた頃に免疫細胞が異物を感知して攻撃を開始し、発熱などの症状が出ます。

インフルエンザウィルスが感染した細胞内で量産された後に、ウイルス・ノイラミニダーゼを呼ばれる酵素の力を借りてウィルスが細胞外に放出されます。
ウィルスが細胞外に放出されることで他の細胞に感染し、ネズミ算式にウィルスが増えます。
もしも生産されたウィルスが細胞から放出されなければ他の細胞に感染することができないので、悪さをする前に免疫細胞によって破壊されてしまいます。

タミフルに含まれているオセルタミビルは、細胞内で生産されたインフルエンザウィルスが細胞外出るために必要なウイルス・ノイラミニダーゼの働きを止める作用があります。
オセルタミビル分子がウイルス・ノイラミニダーゼの一部分と結合することで、酵素としての働きを不活性化します。
ウイルス・ノイラミニダーゼが作用しなければ生産されたインフルエンザウィルスは細胞内に“監禁”された状態になり、免疫細胞によってウィルスに感染した細胞ごと破壊・除去されてしまいます。
これにより、病原体であるインフルエンザウィルスが体の中で爆発的に増殖するのを阻止することができる仕組みです。

インフルエンザウィルスの感染と発症の経過

高熱などのインフルエンザの症状は、免疫細胞がウィルスと戦うことで起こります。
ウィルスの数が多ければ免疫細胞が病原体を駆除するのに長い時間がかかるので、長期間にわたり高熱の症状に苦しむことになります。
もしもウィルスの数が少なければ、短期間で治癒します。
インフルエンザウィルスの増殖が続いている間にタミフルを飲めばウィルスの生産を邪魔することにより、早く治癒することができます。

体の中のインフルエンザウィルスの数は症状が出始める頃にピークを迎えます。
それでも発症後48時間以内であれば正常な細胞に感染して新たなウィルスが生産され続けます。
そのため発症後48時間以内にタミフルを飲めばウィルスの増殖を防ぐことができ、治癒するまでの期間が短縮します。
タミフルは解熱作用を持ちませんが、治癒するまでの日数を短くすることで高熱に苦しむ期間を短くすることができます。

ちなみに高熱などの症状が出始めてから48時間以内を過ぎると人体内で病原体を無力化するための抗体がつくられるようになるため、ウィルスが人体の細胞に新たに感染して増殖することができなくなります。
発症後48時間以降になると免疫細胞は既に放出されたウィルスの除去作業を行うようになり、この時にタミフルを飲み始めても意味がありません。

逆に、感染直後から症状が出ていない潜伏期間の間にタミフルを飲んでウィルスの増殖を抑えることができれば、病気の発症そのものを防ぐことができます。
タミフルはウィルスが爆発的に増殖するのを防ぐための薬です。
このため症状が出た後よりも、症状が出る前のウィルスが爆発的に増殖している間にタミフルを飲む方が理想的といえます。
タミフルはインフルエンザの症状が発症してから48時間以内に飲めば効果がありますが、発症前に予防目的で使用することも可能です。

インフルエンザの潜伏期間は?

インフルエンザの潜伏期間は一般的には1日から2日と言われ、その後症状が現れます。

出典:インフルエンザ潜伏期間 – インフルエンザ治療・予防薬@通販

インフルエンザの潜伏期間はだいたい1日から2日程度と言われていますが、人によっては5日など様々です。
インフルエンザにはA型、B型などが挙げられますが、潜伏期間はおおよそ1日から3日の間に発症することが多いです。
潜伏期間内の症状としては、38度以上の高熱、全身の倦怠感、頭痛、吐き気などが挙げられ、潜伏期間中でも感染力が強く他人に感染する可能性があるのが特徴です。

インフルエンザは薬以外では治せない?

薬ワクチンを使用すれば、未然にインフルエンザにかかるのを予防することはできます。
それでもインフルエンザに感染して体の中でウィルスが爆発的に増殖してしまうと、抗ウィルス薬を使用する以外に有効な治療方法はありません。

一般的に細菌が原因で引き起こされる病気の場合には、抗生物質を使用することで積極的に治療をすることが可能です。
抗生物質(抗菌剤)は細胞膜を持つ細菌に対しては非常に強い殺傷能力を持つからです。
そのため抗生物質は、結核や梅毒、赤痢などの細菌性の疾患に対しては特効薬といえます。
ところが抗生物質は、細胞膜を持たないウィルスに対して全く効果がありません。

抗菌剤である抗生物質はインフルエンザウィルスに対して全く効果がありませんし、解熱剤や消炎剤などは一時的に症状を緩和させるための対症療法に過ぎず、根本的にインフルエンザそのものを治療する訳ではありません。
人体は高熱によってウィルスの働きを弱めます。
このため安易に解熱剤を使用して熱を下げてしまうと、治癒するまでの期間が延びてしまう可能性があります。

インフルエンザなどのウィルス性の病気に対しては、抗ウィルス薬以外には有効な治療法が存在しません。
そのため、ひとたびインフルエンザウィルスに感染してしまうと、体の免疫機構がウィルスと戦って病原体を体内から除去するのを待つしか治療方法がありません。
抗ウィルス薬以外には何もしないで寝る以外の手段がないため、“消極的な”対応しかできなくなってしまいます。
人類にとって最もポピュラーなウィルス性疾患のひとつであるインフルエンザの増殖を抑える抗ウィルス薬は、抗生物質が効かないインフルエンザに対する唯一の治療法といえます。

インフルエンザに対して積極的に戦う手段として人類が持つ唯一の手段は、インフルエンザ用の治療薬です。
インフルエンザに有効な抗ウィルス薬は数種類しか存在せず、使用できる薬の種類はかなり限られています。
抗ウィルス薬の中にはA型のみしか効果を発揮しないものもありますが、タミフルはA型とB型の両方に効果を発揮します。
子供がかかることが多いB型インフルエンザにも効果があるため、抗ウィルス薬の中でも強力な武器といえます。

タミフルに含まれるオセルタミビルは、ウイルス・ノイラミニダーゼの働きを阻止することでインフルエンザウィルスを細胞内に“監禁”して、爆発的な増殖を抑える働きを持っています。
オセルタミビルは解熱作用や、インフルエンザウィルスそのものを破壊する作用はありません。
そのためタミフルを飲み始める前に既に体の中で放出されてしまったウィルスを除去するためには、体の免疫細胞や抗体が必須です。
それでも治癒するまでの日数を短縮することができれば、高熱の症状が続く期間を短くするため、間接的に解熱作用があることになります。

インフルエンザの症状が発症した場合には、既に大量のウィルスが体の中に放出されています。
タミフルを飲んでウィルスの増殖を抑えることで、治癒するまでの期間を短縮することは可能です。
それでも数日間は高熱や関節の痛み、下痢や嘔吐などの症状に苦しむことになります。
インフルエンザにかかりたくなければ、予防するしか方法がありません。

大事な仕事や旅行などの予定があり、どうしてもインフルエンザかかってしまうと困る場合には、タミフルを予防薬として使用する方法があります。
基本的にタミフルはインフルエンザの治療薬として利用されますが、感染直後にウィルスが爆発的に増殖する段階で飲むことで非常に高い予防効果を発揮します。
タミフルにはA型とB型の両方のインフルエンザの増殖を阻止する効果があるため、冬の時期に流行するインフルエンザの大半をカバーすることができます。
タミフルは副作用がほとんど無いので、健康な人が予防目的で飲んでも健康被害はありません。
実際に、日本国内でもタミフルが予防目的で処方されることがあります。